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経済

《企業研究》武田薬品工業

外国人社長起用の深刻な「裏事情」

2014年1月号


 社内には早くも戦々恐々としたムードが漂っているという。
「次期社長は日本人」
 こう繰り返してきた公言をいともあっさりと反故にし、武田薬品工業の長谷川閑史社長が、後継者として外国人の起用に踏み切った。英国製薬大手、グラクソ・スミスクライン(GSK)傘下のワクチン社(ベルギー)社長兼ゼネラルマネージャーなどをつとめる四十七歳のフランス人、クリストフ・ウェバー氏で、今年四月までに最高執行責任者(COO)として入社した後、六月下旬の定時株主総会を経て代表取締役社長兼COOに就任する。

 長谷川氏は会長兼最高経営責任者(CEO)となるが、一年後にはCEO職も禅譲する意向だとされている。

 三十七歳でGSKフランス法人のCEOとなり、その後同社アジア太平洋地域担当の上級副社長を歴任するなど、ウェバー氏の「幅広い事業経験と高い実績」(長谷川社長)に惚れ込んでのヘッドハンティングで、いわば「競合相手の幹部を強引に寝返らせたようなもの」(製薬業界関係者)。それだけにグループ内からは「グローバル製薬企業へ脱皮するうえでの通過儀・・・