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経済

日米の株式市場「急失速」の予兆

「原油暴落」と「靖国参拝」が引き金

2014年2月号

「いいかい? 俺たちは投資家の大多数が行く道の裏をかくのが商売だ。年明けの運用会社の投資方針決定会議では、・米国株買い、・日本株買い、・円売りドル買いの三つの方針を全員一致で確認したところが大半だと聞いている。それなら、その反対の作戦で収益を上げるのが一番儲かるに決まっているんだ。そうだろう?」  最近、ある旧知のヘッジファンド運用担当者が筆者にこうまくし立てた。確かに、ニューヨークと東京の両株式市場は昨年来高値を維持してきた。一見、この先行きにほとんど「影」が見当たらないのだが、「逆に下げが大きい日が四、五日続けば、買い方は浮足立つものだ」という。  ニューヨーク株式市場は現在、信用買い残が史上空前の高水準にあり、市場のセンチメントを示すブルベア指数も強気(ブル)五五%、弱気(ベア)は一五%と、差し引き四〇%で市場の過熱傾向を示している。これは間近に急落が起きやすいことを物語っているとも読める。では、その「引き金」は何か。 合言葉は「バレル八十ドル」  かつてリーマン・ショックを予見したあるフランスのシンクタンク「LEAP/E2020・・・