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経済

日産「販売台数急降下」の理由

世界戦略小型車で「壊滅的失敗」

2014年3月号

「会社の将来に私は自信を持っています」。日産自動車のカルロス・ゴーンCEOは昨年十一月、二度目の下方修正とその「懲罰人事」の発表とともに、記者団に向かって同じようなセリフを繰り返した。業績低迷の理由を、「日本や北米での伸びを、欧州や想定以上に苦戦した新興国の業績悪化で相殺し、全体として低迷した」と地域別動向を軸に説明した。だが、「重大な失敗」には触れていない。それは「売れないクルマ」の存在である。グローバル生産拠点を各地に配し、サプライチェーンや生産効率を極限にまで高め、コスト競争に邁進してきたはずの日産。彼らに今、一体何が起きているのか。 誰に向けてつくられたクルマか 「四代目マーチの安っぽさは本当にひどい。去年マイナーチェンジして、だいぶマシにはなったが」(事情通)。二〇一〇年に四代目マーチが登場した時、タイに生産移転して日本へ逆輸入するというビジネスモデルが注目され、新たな時代を感じさせた。だが、実際に輸入、発売されると、「値段(の安さ)以上に安っぽい」と不評を買い、日本での販売は落ち込んだ。しかも、日本だけの話ではない。世界戦略小型車「・・・