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政治

日本版NSCに早くも「疑問符」

北朝鮮ミサイル対処で「機能不全」が露見

2014年4月号

北朝鮮が三月三日に日本海へ向けて「スカッドC」(射程約五百キロ)改良型とみられる短距離弾道ミサイルを発射した事案は、発射から公表まで十八時間近くもかかる大失態だった。鳴り物入りで年明けに始動した日本版国家安全保障会議(NSC)が主導したのだが、その存在意義に大きな疑問符が付く結果となった。安倍政権の対応はお粗末極まりなかったにもかかわらず、マスコミはその問題点に気づいてもいない。

十八時間近くも「頬かむり」

 その経緯を簡単に振り返ると、北朝鮮は午前六時十九分と同三十分ごろ、江原道中部の安辺郡旗対嶺と元山付近から短距離弾道ミサイル二発を発射し、五百キロ超を飛翔して日本海へ着弾した。米国の早期警戒軍事衛星が熱源で発射を探知し、この情報は瞬時に日本と韓国に伝達された。

 午前六時四十分ごろ、防衛省は内閣官房の事態対処・危機管理担当、NSC事務局の国家安全保障局、内閣情報調査室、外務省に連絡。安倍晋三首相にも秘書官経由で発射情報は速報された。

 ところが、である。日本政府がこの発射情報を公表・・・