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WORLD

《世界のキーパーソン》アンヌ・イダルゴ(パリ市第一助役)

仏社会党フェミニズム路線の「旗手」

2014年4月号

 三月二十三日、女性の政治参加の歴史で、画期的な出来事がフランスで起きた。統一地方選のパリ市長選で、国民運動連合(UMP)のナタリー・コシウスコ・モリゼと社会党のアンヌ・イダルゴが一、二位を占めて決選投票に進んだ。パリがロンドンや東京など世界の他の大都市に先駆けて、最初の女性首長を選ぶことが確定した。

 本稿執筆時点で優勢のイダルゴは、フランス政治の新潮流の代表者である。フランソワ・オランド大統領率いる社会党が、「労働者の政党」という原点から、女性活動家や人種的少数派の拠点へと、その性格を大きく変えているのだ。二〇〇七年大統領選で敗れたセゴレーヌ・ロワイヤル、党第一書記を務めたマルティーヌ・オブリら有力な女性が党内にひしめく。オランド政権誕生時には、三十四閣僚を史上初めて男女同数にした。

「政府、議会、地方自治体での『男女同数』はもちろん、企業の取締役会にも『女性クオーター』を導入しようとしている。フェミニストの声が党内で非常に強くなっている」と、在パリ特派員は言う。

 オランド政権は経済政策でもたついているのに、女性や・・・