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社会・文化

価格「狂騰」のブルゴーニュワイン

巨大資本の「土地買収競争」が原因

2014年7月号

 ブルゴーニュワインに価格暴騰の影が忍び寄っている。ラグジュアリーグッズを扱う大企業が有名ドメーヌの買収に乗り出す一方で、中国の需要が増大している。高騰したボルドーワインと同じ道を歩む危険をはらんでいる。  四月半ば、「LVMHがブルゴーニュ進出」の見出しが、各国のニュースサイトに躍った。ベルナール・アルノーCEO率いるLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)グループが、モレ・サン・ドニ村の特級畑クロ・デ・ランブレを有するドメーヌを買収したのだ。地元紙の報道によると、クロ(石垣)に囲まれた八・七ヘクタールの畑を含む買収額は一億百万ユーロ(約百四十三億円)。相場を大きく上回った。農地取引を監督する農村土地整備公社によると、昨年の特級畑のヘクタール当たり平均価格は三百八十万ユーロ。控えめな数字だが、今回の買収が地価を押し上げるのは確実だ。  ワインそのものの値上がりも心配される。クロ・デ・ランブレ二〇一〇年の国際市場での平均価格は約一万九千円。有機栽培を導入して、馬で耕作し、品質は高い。隣接するクロ・ド・タールと比べてお買い得だったが、巨額投資が価格にはね返るのは世の常だ。アルノ・・・