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呪われた「マレーシア航空」

二度の墜落で「経営破綻」は不可避

2014年8月号

 世界中を巻き込んだ「ミステリー」、マレーシア航空三七〇便失踪事件から半年もたたぬうちに、再び襲った悪夢――。七月十七日に発生したマレーシア航空一七便撃墜が、同社の経営を揺るがしている。長年続く労使対立を背景とした累積赤字はすでに危険水域。残された道は、破綻処理か民営化しかないが、どちらも茨の道だ。  二度目の惨事に見舞われた翌十八日午前のマレーシア株式市場では、同社株価は前日比一八%安にまで暴落し、年初来の下げ幅は約三五%になった。この九カ月で時価総額は四〇%以上下落し、「倒産の可能性も出てきた」(市場関係者)。  わずか四カ月間で計五百三十七人の犠牲者を出したことで、ブランドイメージは大きく毀損された。三七〇便失踪の影響は第2四半期の業績に反映され、八月中旬に発表されるが、大幅悪化は不可避だ。独自に入手した五月の国際線搭乗率は六八・六%。前年同月比で一〇・四%も落ちているのだ。マレーシア航空は一七便墜落を受けて、予約航空券の払い戻しに応じると発表した。三月の事故後にはなかった異例の対応で、顧客からの批判を回避するため"先手"を打った格好だが、売上高を直撃することは避けら・・・