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連載

日本の科学アラカルト49

生活に不可欠な ゴム材料のさらなる進化

2014年9月号

 十五世紀終盤、二回目のアメリカ大陸に向けた航海でコロンブスは奇妙なものを発見した。原住民が見たこともないほど大きく跳ねるボールで遊んでいたのだ。場所は現在のジャマイカともプエルトリコともいわれるが判然としない。これが西洋文明とゴムの出会いだ。ヨーロッパに持ち込まれたゴムはその後数百年間にわたり科学的な改良は行われず、消しゴム、靴の材料として使われていたに過ぎない。  一八三九年、ある米国人が誤って薬品を靴にこぼし、その後知らぬうちにストーブで加熱されていた。一晩するとそのゴムの弾性が飛躍的に増していることを発見する。こぼした薬品は硫黄であり、「加硫」という新たな技術が発見された。米国人の名前はチャールズ・グッドイヤー。世界的タイヤ・メーカーの名として残っている。  その後、各種タイヤの需要が増大するにつれて東南アジアには欧州諸国によるプランテーションが作られ、天然ゴムが量産された。また、二十世紀に入ると石油を原料とした合成ゴムが開発された。東南アジアに権益を持たぬアメリカやドイツが主導して、各種合成ゴムが次々と開発された。  身の回りに溢れ返っているゴムは「古い素材・・・