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経済

アステラス製薬にも 「不正」続々発覚

業績好調の裏に隠された「暗部」

2014年10月号

 製薬企業と大学病院の癒着と腐敗はとどまるところを知らない。ここへきて新たにアステラス製薬も、不正に手を染めている実態が明らかになった。最近は、欧米で前立腺癌治療薬「イクスタンジ」の売り上げが伸び、業績好調なアステラス。二千億円の手元資金をM&Aに充てるなど、その鼻息は荒い。ところが、「医師主導臨床試験」での不正露見が、その勢いを削ぎかねない状況にある。  問題の臨床試験は「ATTEMPT研究」と呼ばれるものだ。研究代表者を務めるのは、熊本大学循環器内科学の小川久雄教授。同大学を中心に二百九十四の医療施設が参加した。  この研究の目的を簡単に言うと、すでに市販されている高血圧治療薬「ミカルディス」の効果と副作用を調査することにある。ミカルディスは、日本べーリンガーインゲルハイムとアステラス製薬が共同販売している薬剤だ。  研究は二〇〇九年七月に始まり一千二百四十五例を集めた。医師主導臨床試験は文字通り、医師が独立して行う研究でなければならないが、これを裏で仕切っていたのが販売元のアステラスだった。同社が関与した証拠は、ATTEMPT研究のホームページに刻まれている。例・・・