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リビアもイスラム過激派の「巣窟」に

「破綻国家」に介入する各国の思惑

2014年10月号

 数えてみたら一千七百を超えていたとされる武装集団の台頭で、独裁者カダフィ追放の喜びも束の間、破綻国家に擬される混沌のどん底に突き落とされていたリビア。世界が「イスラム国」への対応で慌てふためく中、その存在はともすれば忘れられがちだ。しかし、この国が抱える危機の深刻さは、それが中東アフリカ地域と世界の安全に及ぼす脅威を考える上で、イスラム国に勝るとも劣らない。  地元記者は、カダフィの武器庫から大量流出した兵器の流通でリビアは「世界最大の武器の闇市場」と化したと表現、破綻国家と化した母国の現状を嘆いている。  二〇一一年の「革命」成功後、リビアでは国民会議の設置、民主的な議会選挙実施と、暫定的な文民統治から本格的な民主政治を目指した民主化プロセスが志向されたが、これと同時並行的に進んだ現象は、まさにカダフィの亡霊がなせる業であった。国民ひとりひとりに武器が行き渡り、地縁、血縁、政治思想等で結ばれた民兵組織が実力で利権を主張、奪い合う事態となったのだ。 国籍不明機による爆撃  これらの民兵組織は離散集合し、現在では主に三つの勢力に分類することができる・・・