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経済

「無法地帯」と化すFX市場

堂々まかり通る「丁半博打」

2012年12月号

 個人投資家が参集する外国為替証拠金取引(FX)市場においていま、由々しき事態が進行中だ。  少額の証拠金にレバレッジをかけて多額の取引を可能とするFXは、かつて巨額の損失を発生させるケースが続出したハイリスクな為替取引として社会問題化したことは記憶に新しい。こうした事態を受け金融当局はすでに、過剰な投機性を抑制すべく、レバレッジ規制の導入に踏み切っており、一時期の過熱ぶりは収束を見せた。  だが、淘汰が進む市場での生き残りに必死の証券会社の間ではスプレッド(手数料)引き下げ競争が過熱化。消耗戦の果てに経営危機に瀕する証券会社が相次ぐ中で、そうした規制が市場で極めて危うい取引を誘発しているというのだ。一部には個人投資家に深刻な被害をもたらしている動きもあり、すでに厳格な監視が必要な段階だという。  十月三十一日、ある椿事が明らかになった。東京金融取引所が二〇一三年三月期中間決算で営業赤字に転落したというのだ。システムトラブルなどで一時的な追加費用が生じて、特別損失計上の果てに最終損失――というケースは他の取引所でも過去にないことはない。しかし、営業するほど赤字を垂れ流・・・