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経済

第一生命がひた隠す「横領・自殺事件」

闇に葬られた「不祥事」の真相

2014年11月号

 第一生命保険の隠蔽体質は骨の髄まで染みつき、改善される見込みはなさそうだ。本誌先月号で指摘した米国証券取引委員会(SEC)や日本の検察審査会の捜査、審査は現在も継続している。  実は、第一生命がひたすら隠しているのは不払い問題だけではない。渡邉光一郎社長がトップに就いたのは、二〇一〇年四月の東京証券取引所一部上場の直前だった。この前後に第一生命社内である不祥事が発覚していたのだ。最悪の結末を迎えたこの事件は、同社、渡邉体制の病巣の根深さを示している。 八千万円の横領を報告せず  第一生命が無事に東証一部に上場した約四カ月後のある夏の日。まだ日が昇って間もない時間に、東京近郊に建つマンションの八階踊り場から、一人の男性が身を投げた。男性の身体はマンションの敷地を取り囲む白いフェンスにぶつかり、隣の敷地の地面に叩きつけられた。男性の名前を仮に佐山とする。今回、佐山の死体検案書を入手したが、死亡時刻は「五時(推定)」となっている。享年五十、即死だったことが窺える。すぐに自殺と断定された。  早朝の出来事だったこともあり、周囲もすぐには気が付かな・・・