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経済

《企業研究》オリエンタルランド

「夢の国」ビジネスに潜む悪夢の実態

2015年1月号

 非日常性―一九八三年四月の開園以来、東京ディズニーリゾート(TDR)が最大の売りにしてきたコンセプトがこれだ。一歩園内に足を踏み入れれば、そこには日常生活では決して味わうことのできない夢があり、感動があり、喜びがあり、そして安らぎがある。

 だからこそ全体設計にも工夫を凝らす。アトラクションの配置ばかりではない。植栽一本一本の位置取りにまでこだわり、見事なまでに「現実」と遮断する。一度でもTDRに行ったことがある人なら分かるだろう。園内から、鋼材加工センター、物流倉庫や集合住宅群などが立ち並ぶ、埋立地特有ともいえる千葉・浦安の無機質で無粋な風景を目にすることはまずない。

 ところが、その「夢の国」がこのところ何やら〝変調〟を来している。ビッグサンダー・マウンテン、スプラッシュ・マウンテンやミート・ミッキーといった人気アトラクションはいつ行っても長蛇の列だ。入場までに二時間くらい待たされるのは当たり前。夏休みや土日祝日ともなるとゆうに三時間待ちといった苦行を強いられる。そのうえレストランなどの飲食施設はどこもすし詰めの有り様だ。空席が見当たら・・・