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経済

立ち枯れゆく関西電力

原発再稼働が遠のき「万事休す」

2015年1月号

 関西電力が首都圏攻略に向け、密かに東燃ゼネラル石油と火力発電プロジェクトを進めている。東燃ゼネの川崎工場の敷地内に出力五十万キロワット以上の電源建設を計画、原油の精製・分解装置から出る安価な抽出残渣を燃料とすることで、石炭火力並みに価格競争力のある電源を目指す。 「ピッチ(抽出残渣)発電」と呼ばれるこの発電方式は、JXグループが茨城・鹿島製油所で十万キロワットの設備を建設中だが、五十万キロワットを超える大規模電源を、しかも、東京湾沿岸で計画するのは初めて。東燃ゼネはすでに残渣タンクの建設に着手し、脱硝・脱硫装置も十全に備えて環境規制をクリアする構えだ。東燃ゼネ幹部の表情は明るい。 「関電さんのおかげで、二十年越しの悲願が成就しそうだ」 揺れる東燃ゼネとの火力建設  なるほど、東燃ゼネにとっては「悲願」に違いない。実は旧ゼネラル石油時代の一九九六年、同社は東京電力が初めて実施したIPP(独立系発電事業者)入札に、同じく川崎工場内の五十四万キロワットの火力計画で応募し、見事落札した実績があるのだ。IPPの安定した売電収入が得られるはずだったが・・・