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社会・文化

世界に溢れる「偽造ワイン」

あなたの秘蔵ボトルは大丈夫?

2015年1月号

 昨年十二月、ヤフー・オークションに出品されたアンリ・ジャイエのワインが怪しいという話題が、Facebookのワイン愛好家の間で盛り上がった。「ブルゴーニュの神様」と呼ばれた造り手のヴォーヌ・ロマネ一九九〇年。市場にほとんどないはずのボトルだが、ラベルの文字間隔の不自然さ、きれいなラベル、ロウで栓をしている違和感を指摘する声が相次いだ。このボトルは結局、十六万三千円で落札された。  日本の愛好家は偽造品に無頓着だが、欧米は最近、神経質になっている。高級ワイン偽造で懲役十年の判決を受けたワイン収集家ルディ・クルニアワンの余波だ。インドネシア国籍のクルニアワンが逮捕されたのは、ブルゴーニュの名門ドメーヌ・ポンソでは生産されていない古いワインをニューヨークのオークションに出品したのがきっかけ。ポンソの当主が出品を中止させ、自費で調査したクルニアワンの情報をFBIに提出し、捜査が始まった。  クルニアワンは自称「コンティ博士」。裁判は派手なプロフィールや生産者の出廷で注目を集めた。クルニアワンは二〇〇〇年代初頭から、オークションに、ブルゴーニュやボルドーの高級ワインを大量に出品。少・・・