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連載

続・不養生のすすめ49

生き方と死に方
柴田 博

2015年1月号

 最近、月刊誌にも週刊誌にも、死の問題が取り上げられることが多くなった。その内容は多岐にわたる。尊厳死や安楽死の問題もあるし、終末期医療の問題もある。「婚活」をもじったのか「終活」ということばが広まっている。これは二〇一二年十二月に流行語大賞に選ばれたことにもよる。「終活」の認知度は、二〇一二年二月には一〇・二%であったのが一三年二月には二七・〇%にまで上昇したと報告されている。

「終活」は「人生の終わりのための活動」の略である。この中でも葬儀や墓の問題は大きなビジネスに結びついている。相続による財産の移行に関しても、本人や親族のみでなく、金融機関をふくむさまざまな企業が大きな関心を寄せている。「終活」をテーマにしたフォーラムや講習も盛んになってきた。「終活」ビジネスの収益の一部還元として、エンディング・ノートのつくり方といった、いわゆる死の教育も企業の社会貢献の一環として行われるようになった。

 死を扱う学問を「サナトロジー(死生学)」という。これは、「ジェロントロジー(老年学)」ということばと共に、一九〇三年パスツールの後継者メチニコフに・・・