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経済

川崎重工「売国」の中国事業

LNG船建造技術を「献上」する愚行

2015年2月号

「日本のLNG船建造技術が中国に盗まれる」  川崎重工業で中国事業に長年携わったOBが警鐘を鳴らす。造船市場で下位に低迷する川重の中国プロジェクトによって、日本のエネルギー安全保障さえ脅かされかねない事態が進行している。  世界経済の雲行きがすでに怪しくなっていた昨年十二月、川重は中国・大連(遼寧省)で凍結されていた第二号ドックの建設着工を決めた。川重は二〇〇七年に中国最大手の海運コングロマリット、中国遠洋運輸集団(COSCO=コスコ)と合弁で大連中遠川崎船舶工程有限公司(DACKS)を設立、石油タンカーやバルク船などを建造するドック二基を建設する計画だった。しかし、翌〇八年にリーマン・ショックが起きて船舶市場が冷え込んだことで、一〇年に竣工した第一号ドックだけで計画は止まっていた。 一三年の「クーデター」が伏線  これを再開させようというのだが、周囲からは「無謀」との声が上がっている。自動車、鉄鋼、家電など、とにかく「作りすぎる」中国において造船業界も例外ではない。先頭を走っていた日本と韓国を〇四年ごろにキャッチアップし始め、〇六年には世界一の受・・・