三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

経産省「ガス法的分離」の茶番劇

電力の「道連れ」で愚策を強行

2015年3月号

 経済産業省の圧勝と言っていい。政府・与党は二月十七日、電力・ガスシステム改革の焦点である「法的分離」に合意した。電力九社の発送電分離は二〇二〇年四月に、また都市ガス大手三社のガス導管の分離は二二年四月に実施される。自民党商工族に一部異論はあったものの、経産省は「岩盤規制」打破を目指す安倍晋三政権の威光を楯に、電力・ガス産業を農協と並ぶ抵抗勢力に仕立て上げることで押し切った。  メディアは、発送電分離をめぐる経産省と電気事業連合会の〝十五年戦争〟の決着を囃し立てるが、むしろ今回、攻防が先鋭化したのはガス導管の分離である。 「あんな〝後出しジャンケン〟で勝っといて、それで次官になるんなら怒るで!」  日本ガス協会の尾崎裕会長(大阪ガス社長)の側近は吐き捨てた。東京ガス、大ガス、東邦ガスの大手三社には義憤が渦巻いており、その矛先を向けられているのが経産省・資源エネルギー庁の上田隆之長官だ。  上田氏はまさしく、近く国会へ提出される電力・ガスシステム改革の関連四法案をまとめ上げた責任者。首相官邸から見れば、「岩盤規制」打破の戦友である。その論功行賞で、六月の同省定期人・・・