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それでも「不安」な日米同盟

対中国でオバマの「裏切り」はあるか

2015年5月号特別リポート

 今回の日米首脳会談は、中国に対する日米同盟という対立の構図から眺めると大きな成功と言えるだろう。日米中三国の関係はそれぞれの国の内政、外交が連動して複雑な展開を見せてきたが、中国の国柄が一党独裁色をさらに強め、国際法をときに無視するかのような行動に出れば出るほど、日米同盟の存在感は浮き出てくる。安倍晋三首相がオバマ大統領との間で共有を確認したのは、民主主義、法治主義、人権尊重といった普遍的価値観だった。中国を除外した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)実現への方向性が明らかになってきたことは、中国が熱意を示しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)への強烈なカウンターブローになっている。加えて両国間では日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定の合意がなされた。すべて日米同盟強化だ。

 時代の変化もあり、従来の日本の対応はかなり異なってきた。四月二十二日にインドネシアのジャカルタで開かれたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)六十周年を記念する首脳会議で演説した安倍首相は先の大戦の「深い反省」を口にしたとき、「侵略または侵略の脅威、武力行使によって他国の領土保全や政・・・