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社会・文化

「漂流」を始めた朝鮮総連

許宗萬議長「重篤説」と跡目争い

2015年6月号

 日朝関係の「キーマン」が、その人生の幕を静かに下ろそうとしている。その人物の名は、齢八十四になる在日本朝鮮人総連合会(総連)議長の許宗萬。近年の日朝交渉の裏面史の助演男優といえる存在だ。東京都千代田区の総連本部ビル(朝鮮中央会館)競売問題などで、晩年に世間の耳目を集めた許宗萬が、その人生について一切口をつぐんだまま墓まで持っていこうとしている。同時に、彼がトップに君臨した総連内部では来るべき「政権交代」に向けて水面下の駆け引きが始まっているという。 北朝鮮本国での「地位低下」  今年三月二十六日、朝鮮総連傘下企業によるマツタケ不正輸入に関連して、杉並区の自宅を家宅捜索された許宗萬議長は、自宅前に集まった数十人のマスコミを前に、安倍晋三政権と警察当局を猛烈に非難した。しかし実は、この時点で議長の身体は限界だったという。公安関係者が語る。 「議長は三月に入り、二度緊急入院した。内臓疾患で下血が続き、容体は良くない」  下血、それも二度となれば容態は相当深刻であることが窺える。これを裏付けるように、総連内部で「争い」が起きていると語るのは、ある朝鮮総連・・・