三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《土着権力の研究》 大分県 社民党県連

自民党よりタチ悪い「究極の保守」

2015年7月号

 福岡、熊本、鹿児島という中核県と比較した場合、九州の他の四県の存在感は低い。中でも隣接する宮崎県の注目度が近年高いため、「大分県の地位は九州の中で最低」(地元財界人)と自嘲する声が聞こえる。別府や湯布院に代表される温泉以外に目立った産業もなく埋没する大分では、独自の政治風土がいまだ残っている。

「旧社会党王国の名残があり、社民党がいまだに強い」

 自民党県会議員の一人はこう語る。このことは元首相の村山富市の発言力の強さに端的に表れる。今年四月の地方選では、村山の発言が選挙戦の帰趨を決めた。今回、地方選で連敗していた自民党は、全国的に野党との全面対決を避けた。その中で数少ない「自民党VS民主党」という構図ができたのが大分県知事選だった。

 自民推薦で現職の広瀬勝貞と、元民主党衆院議員の大分市長、釘宮磐の一騎打ちだが、村山は、広瀬の事務所開きに駆け付け「もう一期広瀬さんがいい」と支持表明をした。村山は「(広瀬は)保守とか自民ではなく県民党。よく働いている」と語ったが、広瀬の政治姿勢が現在の社民党とは相容れないことは明らかだ・・・