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連載

皇室の風83

「カネの切れ目は縁の切れ目」
岩井克己

2015年7月号

 福島県双葉町のことを書いたら、六月に入って同町はじめ原発事故の被災地・被災者に関し大きな動きが次々に報じられた。

 まず同町当局は、町内二カ所に設置されていた看板ゲートを「老朽化して危険」として撤去することを決めたという。

「原子力明るい未来のエネルギー」。もはや人が住めなくなった町のシンボル的景観として、原子力発電の「安全神話」瓦解の痛烈な象徴として、今や世界的に有名となった。標語発案者で茨城県に避難中の町民男性らが、現地保存を求めて集めた六千五百人余りの署名を六月八日に町に提出したばかりだった。

 また、政府は六月十二日、福島県内の避難指示解除準備区域(年間二十ミリシーベルト以下)と居住制限区域(同二十ミリシーベルト超五十ミリシーベルト以下)への避難指示を二〇一七年三月までに解除すると閣議決定した。「住民の早期帰還を後押しするため」としているが、これに伴い、帰還困難区域(同五十ミリシーベルト超)以外からの避難住民への月十万円の精神的賠償の支払いも一八年三月で打ち切るという。

 軌を一にして福島・・・