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連載

続・不養生のすすめ55

コレステロール、善玉・悪玉の噓(3)

2015年7月号

 最近いくつかの新聞や週刊誌で、コレステロール摂取や血中コレステロールの治療基準に関する特集が掲載された。内容はいずれも正鵠を射ており、本コラムの読者の方々には、納得がいったのではないかと思われる。さしもの日本動脈硬化学会も五月一日に声明を出し、コレステロール摂取を制限することがナンセンスであるとする意を伝えた。理由は、アメリカの学会の動向や新しい日本人の食事摂取基準に鑑みてということである。しかし、個人にも組織にも礼節が求められる。二〇一二年に、それまで一日のコレステロール摂取量を三百ミリグラム未満としていたのを二百ミリグラム未満と変えたばかりである。学理の動向に逆らって不当なガイドラインを出し、国民に迷惑をかけたことを先ず詫びることから始めなければならない。

 しかし、今回はこの問題に深入りする紙幅がない。ともあれ、第二次世界大戦後の最大の神話ともいえる〝コレステロールバイ菌説〟も終焉を迎えつつある予感がある。二〇〇〇年、東京都老人総合研究所の副所長を定年退職したときの、筆者の記念講演のテーマは「コレステロールとの格闘」であった。この頃と比較してもまさに今昔の・・・