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途上国」に転落するロシア

投資家もプーチン体制を見限った

2012年2月号

 プーチン体制が揺れる中、ロシアからの資本逃避が急速に進んでいる。二〇一一年の資本逃避はソ連崩壊後では二番目に大きい八百四十二億ドルとなり、その半分が第4四半期に集中した。ロシア内外の投資家がプーチン体制に強い危惧を持っていることを示しており、プーチン首相が三月の選挙で大統領復帰を決めても、財政難と経済停滞の危機に直面することになる。

経済自由度ではザンビアと同水準

 ロンドン証券取引所の今年最初の大規模IPO(新規株式公開)は、失望で始まった。  ロシアの石油開発企業「ルスペトロ」は、国際原油価格が百ドル前後に推移する追い風もあって、三億五千万ドルを集めようと意気込んだが、実際に集まったのは二億五千万ドルだけだった。同社は、プーチン側近から石油業界に横滑りしたキリル・アンドロソフが大株主というクレムリン銘柄。在ロンドン経済記者は、「大統領選後の動向を見極めたい、という心理が強く働いた」と言う。  昨年十二月の下院選挙以来、悪いニュース続きのプーチン首相にとって、カネの流れも嫌な話ばかりだ。ロシア中央銀行が発表した一一年の資本逃避総額は、世界経済危・・・