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経済

日本製スマホが「絶滅」する日

激変する携帯市場の「暗い未来」

2015年8月号

 携帯電話事業者(キャリア)が変わっても現在使っている電話番号をそのまま使える番号ポータビリティ(MNP)制度の利用状況で、二〇一五年六月にNTTドコモが六年五カ月ぶりの転入超過となった。〇六年十月の導入以来、ドコモの顧客をau(KDDI)とソフトバンクが奪い合う「ドコモの独り負け」で推移してきたMNP。ようやくドコモの転入超過となったわけだが、実態は同社にとって手放しで喜べるようなものではない。それどころか国産スマートフォンの存続にまで飛び火しかねない「危険な兆候」なのだ。 「ドコモも、なり振り構わずだ」とライバルのキャリア幹部はあきれ顔で話す。ドコモのMNPは一六年三月期に入って大幅に好転している。一五年三月期の第4四半期(一五年一―三月)が十四万七千件の転出超過だったのに対し、今年度第1四半期(一五年四―六月)は約三万件の転出超過にまで改善していた。そして六月、やっと約二千件の転入超過にこぎつけたのだ。 「ほとんど利益が出ない卸売り」  問題はその中身。「ドコモのMNP改善で最も効いているのは、仮想移動体通信事業者(MVNO)の契約増」と、情報通信・・・