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経済

《経営者東京裁判》西室 泰三 日本郵政社長

勲章への欲ボケによる老害「重犯者」

2015年9月号

 この男は本当に何も知らなかったのだろうか。現職だった田中久雄をはじめ、歴代三社長を辞任へと追い込んだ東芝の不正会計事件。その全貌が明らかとなった衝撃の記者会見から一夜明けた七月二十二日、日本郵政の定例会見で報道陣から事件に対する所見を問われた社長の西室泰三はこう慨嘆し、関与を否定してみせた。

「(東芝の)社長経験者として敢えて申し上げれば、極めて残念です。もし私が相談を受けたらあのようなことを容認するハズもない。(第三者委員会がまとめた)報告書も読みました。悲しいです」

 一九九六年から東芝の社長・会長を歴任した西室は、二〇〇五年に相談役に退いた後も「任期八十歳まで」の内規をタテに同社に居座り続ける。この間、実に十九年。直接の後任となった岡村正にはじまり、西田厚聰、佐々木則夫そして田中へと受け継がれていくトップ人事にも「強い影響力を発揮した」(東芝OB幹部)とされている。

 実際、前述の会見の中でも「室町(正志)会長も責任を感じて辞めようとしたが、私は相談役として『絶対に辞めないでくれ。残る方がつらいかもしれないが、そ・・・