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WORLD

米中激突「通商戦争」の行方

「不法国家」締め上げに本腰の米国

2016年6月号

 米国のオバマ政権が中国に対して新たな通商戦争を仕掛けている。米通商代表部(USTR)が五月に、米国産鶏肉への関税問題で、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴したのに続いて、商務省も中国製の冷間圧延鋼板に対して、五二二%の反ダンピング関税の導入を決めた。オバマ政権は、中国を「世界経済のルールに従えない国」として、通商慣習のみならず、知的財産権(IP)保護、違法なコピー商品乱造、製品安全性など法的・制度的側面から体系的に追い詰める意向で、オバマ政権最後の対中制裁は、日本や欧州だけでなく、アジアの周辺国も巻き込む大規模な通商戦争になりそうだ。
WTOで激しく争う事態
 米大統領選の例年にない過熱で、米国内では今やニュースにもならないオバマ大統領。だが、今年五月のNBCニュースとウォール・ストリート・ジャーナル紙の共同世論調査では、大統領支持率は五三%にまで上がった。共和党のドナルド・トランプ候補に対して、「何も分かってないねえ」と現役の余裕でジャブをかまし、民主党のヒラリー・クリントン候補を側面支援するスタンスで、存在感を増している。{b・・・