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《世界のキーパーソン》ヴィルジニア・ラッジ (ローマ市長選候補)

「都民羨望」清廉女性が首都の顔に

2016年6月号

 六月のローマ市長選で、パリ市長に続いて欧州の首都に女性市長が誕生しそうだ。しかも、結党して七年の「五つ星運動」所属の三十七歳となれば、イタリア政治の地殻変動である。世論調査では、候補乱立の中で三〇%の支持を集めてトップ。五日の第一回投票を勝ち抜くのは確実で、十九日の決選投票でも、優位と見られている。当選すれば、「永遠の都市」ローマの史上初めての女性市長になる。
 職業は弁護士で、二〇一一年に「五つ星」に加わり、ローマ市議会議員になった。昨秋、中道左派・民主党のイニャツィオ・マリーノ市長が、「多額の公費を家族との会食に使った」との疑惑で辞任。「五つ星」のオンライン予備選で圧倒的な人気を得て、同党の市長選候補になった。
 ラッジの人気は、驚くほど単純な公約に秘密がある。市内の道路に「バス優先レーンを作ること」と、「ゴミをきちんと回収すること」である。
 ローマ在住の邦人記者は、「ローマではこんな簡単なこともできていません。狭い道に二重駐車したり、メトロもぜんぜん来なかったり。公共サービスはでたらめで、生活はとても大変」と言う。ラッジはまず、市民に最低限のサー・・・