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政治

それでも消えない「衆参同日選」

「抜き打ち解散」の舞台は整った

2016年5月号

 首相安倍晋三が勝負をかけた衆議院北海道五区の補欠選挙で自民党公認の和田義明(四十四歳)が無所属の池田真紀(四十三歳)を振り切った。たった一議席をめぐる戦いであったが、安倍にとって政権の命運に直結するほどの重い一議席。
 それだけに安倍の五区補選に注いだ力の入れ方は尋常ではなかった。まず、仇敵とも言えた新党大地代表の鈴木宗男に支援を要請。不倫問題で議員辞職した宮崎謙介の穴を埋めるための衆院京都三区の補選は、安倍の強い意向で候補者擁立を見送った。与党としては異例の不戦敗の選択。北海道にすべての戦力を投入するためだった。共産党が候補者擁立を見送り、無所属ながら野党統一候補が実現したからだ。北海道五区を落とせば「〇勝二敗」。安倍の求心力の低下は避けられなかった。
 現にここに至るまでの経過は紆余曲折、一時は和田の落選情報も流れたほどだ。その原因はいずれも「自責点」ばかり。「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログをめぐる民主党(当時)の山尾志桜里の衆院予算委員会での追及に安倍自身が答弁ミスを犯した。
「だれが書いたか分からない」
 これに、自民党の平沢・・・