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連載

続・不養生のすすめ 48

原因の異なる二つの動脈硬化
柴田 博

2014年12月号

 人類の命をおびやかす病気の歴史は、大きくみると三つの時期に区分される。人類が狩猟や採集に明け暮れていた頃には、飢餓、事故(大きな動物に殺されることもふくめ)、天災などで命を落とすことが多かった。当然平均寿命はきわめて短い。人口が増え、集落を形成して農耕などを行うようになると、感染症により死亡することが一般的となった。

 実にこの感染症時代は先進国でも十九世紀の後半まで、開発途上国は今でもそうである。四万年前から百歳まで生きる遺伝子が備わった人類であるが、平均寿命五十歳の壁を突破する民族(国民)が出現したのはわずか百年前のことである。感染症を克服した国の順である。肉の摂取量の多い順番と一致する。このことは、本コラムでも何回か述べたとおりである。

 感染症時代を克服した国民を待ち受けているのは、脳血管疾患(脳卒中)である。脳卒中には、脳の血管が破れる脳出血(脳溢血も同じ)、と脳の血管がつまる脳梗塞(脳軟化も同じ)がある。脳出血のうち、くも膜下出血の原因は生まれつきのことが多いので、ここでは扱わない。一般の脳出血と脳梗塞について、とくに栄養との関・・・