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原油価格「急上昇」に備えよ

OPEC「危うい五カ国」が引鉄に

2016年7月号

 サウジアラビアと米国の石油戦争が膠着状態に陥る中で、石油輸出国機構(OPEC)加盟の内、特に脆弱な五カ国(五弱)に、国家崩壊のピンチが迫っている。イラクやリビアのように内戦で大混乱の国々から、悪政が経済崩壊を招いたベネズエラやナイジェリアまで、石油収入の激減によって、財政・経済がパンクする国々だ。「やがて低価格の犠牲になって、混乱に陥る」との観測もあり、原油価格は今年後半にかけて上げ基調になるとの見方が強まっている。
 アフリカ最大の人口大国、ナイジェリアに今夏、「亡霊」がよみがえった。
 半世紀前のビアフラ内戦の激戦地、オニチャ市で五月三十日、一九六七年のビアフラ独立宣言を支持する勢力と、治安当局が衝突し、四十人が死亡する事件が起こった。
「ビアフラ独立勢力は複数の組織に分裂していて、紛争再燃の可能性は少ない。ただ、ビアフラの活動家たちは、ナイジェリア国内の他の分離派や過激派と連携する動きを見せている」と、現地取材した英国人ジャーナリストは言う。
 その一つが、産油地帯であるニジェール川デルタで、石油施設の破壊を繰り返す「ニジェール・デルタ・・・・