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政治

《土着権力の研究》ラ・サール人脈

「地元回帰」強める高学歴OB集団

2016年7月号

 ローマに本拠を置くカトリックの修道会である「ラ・サール会」。全世界で一千三百もの学校を運営する同会の修道士が、日本に初めて上陸したのは一九三二年のことだった。戦後、宮城県内で戦災孤児院を設立したラ・サール会が日本で最初に開設した学校が鹿児島県のラ・サール高校だ。五〇年に高校、その六年後には中学校も併設された。
 進学校としての同校の実績については説明の必要はないだろう。九州の南端という地理的不利をものともせず、全国的な知名度は九州域内では断トツだ。福岡の名門、修猷館や久留米大附設を知らない東日本の人は多いが、ラ・サールを知らない者はそうはいまい。
「昔は、卒業生はほとんどが鹿児島県外に進学することもあり『地元の学校』という雰囲気が少なかった。でも近年は少し様相が違う」
 地元財界人はこう語った。政界を中心として地元に根を張るラ・サール人脈が、鹿児島県内での影響力を増しているのだという。
地元政界で存在感を発揮
 市内南部、鹿児島中央駅から二キロほど離れた市電の終点のほど近くに、中学生約五百人、高校生七・・・