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社会・文化

「日本会議」ブームの 異様な過熱

「とにかく売れる」出版界のプチ特需

2016年7月号

 今年二月末、高市早苗総務相の「電波停止」発言に抗議して記者会見を開いたジャーナリストの鳥越俊太郎は、文芸評論家の小川榮太郎ら民間有志でつくる「放送法遵守を求める視聴者の会」を批判する文脈で、突然、保守系団体「日本会議」の名前を出した。
 視聴者の会が一部新聞に、テレビ各局の偏向を訴える意見広告を出したことに対し、こう嚙みついたのだ。
「日本会議という右翼的な団体があって、そこからお金が出て、産経と読売に意見広告が出ているということがある程度分かってきている」
 だが、この発言には根拠はなかったようだ。日本会議は早速、資金提供は明らかな虚偽、事実無根の内容だと鳥越に抗議した。どうやら、鳥越の思い込みによる「陰謀論」だったらしい。
 ともあれ、一九九七年に設立された日本会議が、最近になって一大ブームを迎えている。朝日新聞、毎日新聞、東京新聞など新聞各紙が特集を組み、テレビがニュースで報じ、「週刊ポスト」「週刊金曜日」「週刊朝日」といった週刊誌も負けじと大きく取り上げる。
 一般書でも、四月に刊行された『日本会議の研究』(菅野完)を皮切りに・・・

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