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「孤独の大国」身悶える中国

「南シナ海」習近平の挫折と限界

2016年8月号特別リポート

 中国の習近平国家主席が、自分の仕掛けた罠にはまってしまった。常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が七月十二日に、南シナ海に関する中国の主張の大半を退けたことで、判決前に繰り返していた挑発的示威活動を今後も継続せざるを得なくなったのだ。
中国は米国や日本を激しく批判し、「南シナ海は中国の核心的利益」との主張を何とか周囲に認めさせようとしているが、その独善的行動は孤立を招くばかりである。緊張激化に偶発的軍事衝突の危険も増しており、周辺国の中には「南シナ海が第三次世界大戦の発端になる?」とのおびえまで広がっている。
自分の罠にはまった中国政府
「相手が宇宙で何をたくらんでいても封じ込める」。米空軍宇宙軍団のジョン・ハイテン司令官は、ハーグ判決後の七月下旬、南シナ海での緊張に、衝撃的な対応を示した。米軍が「スペース・ミッション・フォース(宇宙部隊)」の創設を宣言し、「宇宙戦士の訓練を開始した」ことも明らかにした。詳細は語っていないが、米軍が宇宙で中国の衛星を破壊する準備を進めるということだ。国防総省も同時に、「宇宙防衛計画」に六十・・・