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バングラ「新テロ組織」の実像

「IS仕込み」外国人狙う狂信集団

2016年9月号

 八月十二日、バングラデシュの首都ダッカで手錠をはめた五人の若者が報道陣の前にさらされた。この日未明に市内で拘束された地元過激派組織JMB(ジャマートゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ)の分派「ネオJMB」のメンバーだ。いずれも大量の爆薬や起爆装置を所持していた。
 ネオJMB。七月に日本人を含む人質二十人が犠牲になったダッカの飲食店襲撃テロで浮上したこの組織が、バングラデシュを恐怖に陥れている。従来のJMBとは構成人員やテロの手法が異なる「新しい形態のテロ組織」(治安専門家)であり、新たな大規模テロを起こす可能性が高まっているためだ。
 地元警察は七月以降、ダッカを中心にメンバーの拘束を進めているが、ネオJMBはまるで欠員を補充するように、続々と新たな戦闘員を首都に送り込んでいる。冒頭の五人の若者も、七月二十六日に警察が拠点を急襲し射殺した九人に代わる「自爆攻撃要員」として送り込まれた。警察幹部は警告する。「もし取り締まりに失敗すれば、彼らは組織を立て直し、さらなるテロ攻撃を行うだろう」。

標的の傾向が変化・・・