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連載

Book Reviewing Globe388

貿易より「投資」を重視する中国

2016年9月号

 地理は運命である、という古代からの教えは、地理ではなくコネクティビティーに取って代わった。コネクティビティー、つまり接続である。
 もし、ベーリング海トンネルができたら、南アフリカから中東、ユーラシア、それから北米、南米のホーン岬まで歩いていけることになる。二十一世紀はそのような時代になるだろう。
 そこにはさまざまな思惑が交差する。地球のエンジニアリングによるインフラストラクチャー建設によって、世界の接続を変え、それに伴うパワーを変える地政学(infrastructure engineering re
mapping geopolitics)の登場である。「接続は、人口、資本市場、労働生産性、技術などとともにグローバル経済の主要なモーメンタムの源なのである」。
 毎年、世界のインフラ投資は三兆ドルにのぼる。人類は、今後四十年間に過去四千年に建設した量を上回るインフラをつくるだろう。
 現在、その争奪戦で優位に立っているのが中国である。中国は、南スーダンの独立に関する国連安保理の合意を長年、留保してきたが、南スーダン政府が、中国に対し・・・