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経済

あな羨まし「ノルウェー年金基金」

二十年間で資産「百五十倍」の大成功

2016年9月号

 おとぎ話が始まるのは二十年前のことだ。
 一九九六年、当時「石油基金」と呼ばれたノルウェーの政府ファンドは、初めて四百六十一億クローネの積み立てに成功した。現在の「一クローネ=約十二円」で換算すると、約五千五百億円だ。
 二十年後の今、「政府年金基金」と改名したファンドの資産総額は、八千五百億ドル(八十五兆円)。百五十倍超である。資産総額では世界最大級の政府系投資ファンドであり、ノルウェーの名目国内総生産(GDP)の二倍以上に達する。
 単純比較はできないが、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産額は〇一年に三十九兆円だったのが、昨年末は百三十九兆円になった。これはもっぱらGPIFの運用比率が増えたことによる変化で、年金積立金自体は、〇一年度末の総額百四十四兆円が、昨年度末には百四十二兆円と、むしろ減少している。
 彼我の違いを論じる前に、基金の起源を詳しく見よう。

子々孫々に富を残す国民

 七〇年代前半、北海の自国大陸棚に石油資源があることが分か・・・