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経済

「新潟ショック」が促す電力業界再編

東電vs関電「原発連合」の陣取り合戦

2016年11月号

 県民の命と暮らしを守る!―、この“決め台詞”で、すべてはリセットされた。東京電力ホールディングス(HD)のある幹部はポツリとつぶやく。
「もしかすると未来永劫、KKは動かないかもしれない……」
 十月十六日、共産・自由・社民の野党三党推薦の米山隆一氏が初当選を果たした新潟県知事選挙は、電力業界に衝撃を与えた。東電関係者が“KK”と呼ぶ柏崎刈羽原発の再稼働がまったく見えなくなったからだ。この新潟ショックの深刻さは、自民党が推した森民夫氏の負けぶりに表れている。
 森氏は、反東電を掲げる泉田裕彦前知事の四選出馬断念がかえって災いし、楽勝ムードの油断があったとはいえ、県都・新潟市で米山氏に四万票以上の差をつけられた。金属加工業が集積する三条市、燕市の得票でも、それぞれ二・五万票対二万票、二・一万票対一・五万票と競り負けている。
「かつての巻町(現新潟市)の原発住民投票を思い出した」と語るのは、地元の電力会社、東北電力の幹部だ。同社の巻原発計画は一九九六年八月の住民投票で「ノー・・・