三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《短期連載》豊田家の研究

分家との確執と章男の長男「大輔」

2016年12月号

 血縁によるネットワークを武器に巨大グループを築き上げてきた豊田家。支配下に置く企業群はトヨタ自動車本体分だけで連結・持分法適用会社合わせ五百六十四社にのぼる。だが、デンソーOB首脳によると、本家・章一郎から章男へのグループ権力の継承が進むにつれ、その分家筋との間で何やら微妙な軋みが生じはじめているらしい。
「新家」「押切」「主税町」—。かつて豊田一族はお互いを屋号などで呼び合い、本家とともに年二〜三回は集まって食事を楽しみ、酒を酌み交わしていたという。
「新家」とは開祖・佐吉の娘・愛子の入婿となり、初代トヨタ社長となった利三郎(旧姓児玉)に連なる筋だ。利三郎の息子で豊田自動織機製作所元専務の幸吉郎や、同じく豊田通商元会長の大吉郎らがこれにあたる。「押切」は佐吉の上の弟である平吉の屋敷があった名古屋市西区押切を指す。一家からはその次男で第五代トヨタ社長をつとめた英二や豊田自動織機元会長(現名誉会長)の芳年らを輩出している。そして「主税町」は佐吉の末弟・佐助が居を構えていた同東区主税町のこと。アイシン精機元社長の稔や豊田合成元監査役の富三らがその子孫だ。{・・・