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経済

米アマゾンの「世界支配」着々

唯一の難敵は「トランプ政権」

2017年4月号

 近未来映画と見間違うようなロボットの身長は四メートル。振り上げた両手をブンブンと回す。操縦しているのは、米電子商取引(EC)最大手アマゾン・ドット・コムの創業者、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)だ。
 ベゾス氏の最新動画が象徴的だ。アマゾンが開催した最先端技術の専門家会議「MARS」で、韓国開発の巨大な人間型ロボットに、ベゾス氏が試乗した時の様子。彼が操るロボットは、大きなはさみを持った蟹のように、周囲を威圧する。SNSには、畏敬のコメントがあふれた。「世界支配に乗り出す」「これが未来だ」「相手を倒す」。
 米国人のアマゾン観は「支配」「未来」「倒す」といった言葉に要約される。
 売り上げ一千三百六十億ドル、時価総額が四千億ドルのマンモス企業でありながら、過去五年間の成長率は二〇%超と、伸び盛りのベンチャー企業のようだ。アマゾン株は、一年前から比べるとほぼ四割の上昇である。
 大株主ベゾス氏の個人資産額は七百二十億ドル。米国でベゾス氏を上回る大富豪は、米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏と世界最高の投資家ウォーレン・バフェット氏だけにな・・・