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WORLD

全アジアを蝕む「砂」の乱採取

凄まじき「密輸と環境破壊」の実情

2017年5月号

 中国やインドなど新興国の建設ブームにより、世界中で砂の需要が高まっている。建設用の砂の消費量は過去十二年間で二倍近くにはね上がり、アジア各国では、砂の商品価値に目をつけて、海岸や河川周辺などで違法に大量採取する「サンド・マフィア」が続々と現れた。中でもインドの砂の違法採取は深刻な問題で、地方政府や警察を抱き込み、巨大な規模での国土破壊に突き進んでいる。

傍若無人のサンド・マフィア

 インドのウッタル・プラデシュ州にあるアグラは、ムガール帝国の名建築「タージ・マハル」によって、世界に名だたる観光地である。その周辺で四月上旬、警察官が襲われる事件が三件連続した。
 一人は、サンド・マフィアのダンプカーを止めようとしたところ、ひき殺された。別の警官は、マフィアのダンプに乗り込んでいた男に発砲されて死亡。さらに別の事件では、警官一人がマフィア数人に暴行を受け重傷を負った。三件は四日間に立て続けに起こり、サンド・マフィアがいかに強大で、警察権力さえ恐れていないかをまざまざと示した。
 同州でこの問・・・