三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

イランと米国の「衝突」は不可避

ロウハニ再選でも緊張増す中東

2017年6月号

 五月のイラン大統領選挙では、現職のハッサン・ロウハニ師が強硬保守派イブラヒム・ライシ前検事総長に圧勝した。ロウハニ人気で投票時間が延長され、当選が決まった夜には数万人の若者が街頭に繰り出してロウハニ再選を祝ったのに、その翌日には、ロウハニ師が真の勝利者ではない現実が浮かび上がった。負けたライシ師を全面支持した最高指導者ハメネイ師が、ほどなく国のカジ取り役に戻ったのである。
 ロウハニ大統領に最初に冷や水を浴びせたのは、ドナルド・トランプ米大統領だった。
 選挙結果発表の翌五月二十一日。
 ペルシャ湾をはさんだサウジアラビア訪問中のトランプ大統領は、「イランは宗派戦争とテロの火を燃やし続けている。この国の政府は、大量殺害を公言し、イスラエル破壊を誓い、『アメリカに死を』と叫び続けている。良心のある国々は一致団結して、イランを孤立に追い込まなくてはならない」と口を極めて、イランを批判した。
 ロウハニ師は選挙戦で一貫して、「自分こそ西側とうまくやっていける候補」「自由を守る候補」であると訴え続けた。トランプ大統領の発言は、当の米国が、イラン大統領選・・・