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政治

《罪深きはこの官僚》豊田硬(防衛事務次官)

日報問題を「重症化」させた小役人

2017年8月号

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊が作成した日報を陸上自衛隊が「廃棄した」と説明しながら保管していた事案。いったい誰が隠蔽を主導していたのかが大きな焦点になり、特別防衛監察にまで発展したが、防衛省・自衛隊の関係者の間で「陰の戦犯」とささやかれているのが豊田硬官房長である。そもそもは陸自が昨年七月、最初の情報公開請求に対し「不存在」と回答したのが事の発端であり、底流に陸自の隠蔽体質が潜むことは否定できない。
 問題は、その後の防衛官僚の差配である。昨年九月末、フリージャーナリストからの情報公開請求に防衛省は「日報はすでに破棄され存在しない」と回答した。その時点での防衛省の担当部署は大臣官房文書課の情報公開室で、豊田氏の直轄。この情報公開室が統合幕僚監部や陸上幕僚監部など関係するセクションに問い合わせたところ、どこも存在しないとの返答だった。そこで十二月初旬、陸自で破棄済みとして、いったんは不開示を決定した。
 ところが、自民党の河野太郎行革本部長が再調査を求めた結果、統幕から「戦闘」の文字を記した日報が見つかる。河野氏からの要請は情報公開法に基づく請求では・・・