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経済

《クローズアップ》東入來 信博(ジャパンディスプレイ会長兼CEO)

「身売り」と敗戦処理を託される

2017年9月号

 三期連続で最終赤字となり、今期も赤字確実のジャパンディスプレイ(JDI)に産業革新機構が最後の切り札として送り込んだのが東入來信博会長兼CEO(六十九歳)である。日本鉱業(現JX金属)時代の一九九〇年に半導体装置メーカー・米KLAとの合弁で液晶ディスプレー検査装置会社を立ち上げ、十五期にわたって売上高最終利益率一〇%超を達成した人物。「外資との合弁で身につけたクールな経営判断とディスプレー業界での太い人脈を買われてJDIの再建を任された」(産業革新機構関係者)というが、どうやらあてにされたのは前者の「クールな経営判断」だけらしい。
 二〇一七年六月の会長兼CEO就任後、八月には国内外でグループ従業員の約三割に当たる三千七百人規模の人員削減を発表した。東入來氏は「再建の最後のチャンス」と力説するが、「産業革新機構はJDIの再建を諦めつつあり、出口戦略を模索している」と、同機構担当の全国紙経済記者は指摘する。つまり東入來氏に求められるのは、少しでも有利な事業売却というわけだ。そのためには大胆なリストラと、売れるものは売って財務体質を健全化することで、買収先が見つかるよう「身ぎれ・・・