三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

「ミサイル防衛」が招く財政悪化

米軍需産業にカモられる日本

2017年10月号

 北東アジア地域は地球上でただ一つ、冷戦構造が残された場所と言われるようになって久しい。執拗な弾道ミサイル発射と核実験を続ける北朝鮮の存在は、米ソ冷戦時に核戦争の危機をもたらしたキューバとも重なって見える。冷戦と現在の状況が似て非なる点は、前者は軍拡競争に伴う財政支出増に耐えきれなかったソ連の自壊を招いたのに対し、後者の米朝対立の下で強烈な歳出圧力にさらされ、国家財政破綻への道を進もうとしているのは、米国でも北朝鮮でも、その後ろ盾の中国でもなく、「第三国」の日本だということだ。
 米大統領ドナルド・トランプは九月十九日、国連総会での演説で、「七千億ドルを投じ、米軍は史上最強になる」と宣言、北朝鮮を名指しで批判し、米国や同盟国を守らねばならない局面では「完全に破壊する」と見栄を切った。

THAADも買わされる?

 二〇一八会計年度の米国防予算案の総額は六千三百九十一億ドル(約七十一兆円)にのぼる。海外緊急作戦分を除く基本予算は議会提出段階で、前年度比一〇%増となった。もっとも、これが北朝鮮の挑発に応じ・・・