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経済

メガ銀行で始まる一大「貸しはがし」

「AI合理化」で縮む中小企業融資

2017年12月号

 相次いで明らかになる「大リストラ計画」により、メガバンク三行の内部は大揺れだ。人工知能(AI)などを活用して合計で三万三千人分もの業務を削減し、マンパワーを他に振り向けるという。実際には、不要な人材は大幅にカットされ、主にバブル期入行組が標的になることは既定路線だ。みずほ銀行の四十代半ばの行員が語る。
「早くも行内は寒々とした空気が漂っている。しかし大規模人員整理と業務自動化の影響は、我々銀行員だけではなく、融資を受ける企業側にも及ぶ」
 晴れの日に傘を貸し、雨が降るとその傘を奪う―。大手銀行の中小企業軽視は今に始まったことではないが、今後はこれが加速するとみられているのだ。融資審査業務の激変は、企業の資金調達に深刻な影を落とし、今後はメガバンクだけでなく地方銀行などへも影響が及んでいく。過去に類をみない「貸しはがし時代」が訪れようとしている。

「非情」な融資審査

 前出のみずほ行員は、都内の支店で中小企業を担当している。複数の部下を使って管内の企業経営者と付き合い、融資を行ってきた。本・・・