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政治

外務省「外交放棄」の亡国

「安倍の御機嫌取り」が唯一の戦略

2018年2月号

 日本外交の「メルトダウン(炉心溶融)」を象徴する戯れ言として、国会で追及されるべきだ。
 外務省の杉山晋輔前事務次官(六十四歳)は一月十九日、退任に当たり、本省幹部らを前に、北朝鮮の核・ミサイル問題などの対応に追われた在任一年半を振り返って言い放った。
「心の底から、天井が抜けたような開放感を味わっている。もうミサイルが飛んできても電話を取る必要はない。昨夜はぐっすりと熟睡できた」
 十日後、杉山は外交官最高位の駐米大使に就任した(着任は今春)。開放感を味わっている場合ではなく、対米外交前線責任者として、これまで以上に不眠不休で働いてもらわなければ困る。なのに、このはしゃぎよう。情けなさを通り越し怒りをかき立てる。
 前外務審議官として杉山を支えた後任の秋葉剛男事務次官(五十九歳)ら幹部たちが、この笑えない冗談に笑い声を上げた無神経さにも呆れはてる。折からの南北会談で、対北朝鮮圧力一辺倒の日本は様子見の米国にも置き去られ、いつの間にか孤立しているというのに、緊張感のかけらもない。
 杉山の異名は「スキャンダル・キング」。次官秘書官だっ・・・