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経済

世界を揺るがす新型「資源インフレ」

中国の「環境政策」が最大の要因

2018年3月号

「資源インフレ」―。十年程前は、この言葉を頻繁に耳にしたが、金融危機後の不況とシェール革命によって聞かなくなった。しかし昨年以降、エネルギーと金属資源価格が急上昇している。中国の景気拡大が大きな理由にある。今年の中国経済は、指導部が企業債務増大の抑制に取り組むため、前年比でやや減速することが見込まれているが、中国の輸入は減速どころか、一月に前年比三六・九%増となっている。原油輸入は過去最高で、鉄鉱石は過去二番目の水準だ。だが、今起こりつつある資源インフレの特徴は、こうした「単なる爆食型」ではない。姿を変えた新タイプだ。
「五年間の努力が実を結び、中国の『大気十条』目標は完全に達成され、北京・天津・河北地域、長江デルタ地域、珠江デルタ地域におけるPM2・5濃度は著しく低下した」
 中国環境保護部の報道官は一月末、定例記者会見でこう胸を張った。「大気汚染防止行動計画」(大気十条)は二〇一三年九月に国務院が発表したもので、大気汚染防止に向けて都市別にPM2・5の濃度などの数値目標を掲げていたが、この環境規制こそが新たなインフレをもたらしている。

世界中の火力発電コストが上昇・・・