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経済

中部電力と東邦ガスの「醜い談合」

電力・ガス自由化「有名無実」の癒着

2018年4月号

 中部電力が地域独占の維持に躍起になっている。これまで地域のライバル、東邦ガスと見せかけの競争を演じてきたが、東京電力ホールディングス(HD)や関西電力が邦ガスとの提携に食指を動かしたことを受けて、邦ガスへの電源供給という露骨な懐柔策に打って出た。中部電は邦ガスとの間でLNGも共同調達しており、電力も全て中部電となれば単に電力会社とガス会社で地域独占を謳歌するだけだ。もはや中部地方では競争が起きていないに等しく、「あれが許されるのであれば、電力小売全面自由化の意味がなくなるのではないか」(エネルギー業界関係者)と危惧の声も出ている。背景には、中部電と邦ガスの多年にわたる癒着関係があり、これを見逃す監督官庁の姿勢も問われることになるだろう。

「共存を図る」紳士協定

 邦ガスは電力小売全面自由化の初期から電気事業に参入した。ただ、自社電源と呼べるものは、三重県四日市市に建設した一万六千五百キロワットのコジェネレーション設備しかなく、電気は住友商事系のサミットエナジーからの外部調達に依存している有り様だ。
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