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政治

防衛省でも「文書改竄」の一大事

日報より深刻な「動的防衛協力」の証文

2018年5月号

 世間を騒がせたイラク派遣の陸上自衛隊部隊の日報隠蔽。実は防衛省・自衛隊にとって、この問題があそこまで混迷を極める展開は想定外だった。国防の府がより深刻に警戒したのは、共産党が暴いた「日米の『動的防衛協力』について」と題する内部文書への対応で、その要義は米軍に代わる自衛隊の伸張。小野寺五典防衛相は四月二日、イラク日報発見と併せ、これと同じ表題の文書が見つかったと発表した。だが森友学園を巡る隠蔽の流れから、メディアの関心は日報問題に集中し、動的防衛協力の改竄疑惑は刺身のツマ程度にしか取り上げられていない。はるかに重大と内部で受け止められた改竄疑惑が日報問題の陰に隠れたのは防衛省の思惑通り。だが、抱き合わせた代償は「日報火祭り」と化して燃え広がり、自縄自縛に陥ってしまったのだ。
 統合幕僚監部が小野寺氏にイラク日報の存在を報告したのは三月末日だった。その前日、共産党の穀田恵二議員が衆院外務委員会で、情報公開請求を受けて防衛省が昨年開示した動的防衛協力の文書に「改竄の疑いがある」と追及。開示文書から沖縄での自衛隊と米軍の共同使用や共同訓練の対象となる施設や訓練が明示された頁などが消・・・